虫歯とは、歯に細菌が感染し、歯が溶けて穴があいてしまう病気です。初期の段階では自覚症状がないことが多く、気づかないうちに進行してしまうこともあります。進行すると強い痛みが生じたり、場合によっては抜歯が必要になることもあります。
そのため、虫歯を「予防すること」、また「早期発見・早期治療」が非常に大切です。生涯ご自身の歯で健康に過ごすために、定期的な歯科検診を受けるようにしましょう。
虫歯の主な原因は、以下の3つの要素が重なったときに発生します。
この3つの要素が揃い、時間が経過することで虫歯が進行します。つまり、これらの要素を日常生活でコントロールすることが虫歯予防につながります。
虫歯は進行度合いによって治療方法が異なります。
1.CO 初期の虫歯
歯に穴はあいておらず、白く濁るなどの変色が見られる段階です。症状はなく、自分では気づきにくいため、歯科検診での発見が重要です。
治療内容: TBI(歯磨き指導)、PMTC(専門的クリーニング)、フッ化物塗布などで再石灰化を促します。歯を削る治療は行いません。
2.C1 エナメル質の虫歯
歯の表面(エナメル質)が溶け始めた段階で、まだ症状は出にくいです。
治療内容: 基本的にはCOと同様に進行抑制を行いますが、進行が懸念される場合は、最小限の削合と詰め物による修復を行うことがあります。
3.C2 象牙質の虫歯
虫歯が象牙質に達し、冷たいものがしみたり痛みを感じることがあります。象牙質は進行が早いため、早めの対応が必要です。
治療内容: 虫歯を削り、コンポジットレジン修復、インレー修復、クラウン修復などで対応します。
4.C3 歯の神経(歯髄)の虫歯
虫歯が歯髄(神経)まで達し、強い痛みや炎症が起こる状態です。
治療内容: 根管治療(神経の除去・消毒)を行い、その後、詰め物や被せ物で歯を修復します。
5.C4 末期の虫歯
虫歯が歯の根元まで進行し、歯の頭が崩壊してしまった状態です。神経はすでに死んでいることが多く、痛みはない場合もありますが、根の先に膿が溜まると強い痛みを伴うことがあります。
治療内容: 根管治療が可能な場合は行いますが、状態によっては抜歯が必要になることもあります。放置すると全身の健康に影響を与える恐れもあるため、早急な治療が必要です。
☆TBI 歯磨き指導
虫歯予防の第一歩は、毎日の正しい歯磨きから。
当院では、歯科衛生士が一人ひとりのお口の状態に合わせて、最適なブラッシング方法をご指導いたします。
歯磨きは、虫歯予防において最も重要なケアです。しかし、「適切な道具」と「正しい使い方」がそろっていないと、その効果は十分に発揮されません。
ご自身で磨けていない箇所は、染め出し液で可視化しながら確認できます。それにより、より効果的なブラッシング技術を身につけることができます。
正しい歯磨きを習得すれば、虫歯のリスクを大きく減らすことができ、治療後の二次虫歯(再発)の予防にもつながります。
治療と並行して、日々のケアを一緒に見直していきましょう。
☆PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
歯の専門家による、専用器具を使った本格的なクリーニング
PMTCは、歯科衛生士が専用の器具を使って行うプロフェッショナルな歯の清掃方法で、予防歯科の先進国・スウェーデンで開発された技術です。
通常の歯磨きでは落としきれない「バイオフィルム(細菌の塊)」を除去し、歯の表面をツルツルにすることで、新たな汚れがつきにくい環境を整えます。
さらに、PMTC後にフッ化物塗布を併用することで、唾液の自然な働きも促進され、初期虫歯の自然治癒を目指すことができます。
☆フッ化物紙面塗布法
歯科医院だからできる、より効果的なフッ素塗布
フッ素には、以下のような虫歯予防効果があります:
特に初期の虫歯であれば、フッ素の力と唾液の自然治癒力によって、歯を削らずに治せる可能性があります。
当院では、事前に歯のクリーニングを行った上でフッ化物を塗布することで、フッ素の浸透を高め、より効果的な虫歯予防を実現します。
☆コンポジットレジン修復
小さな虫歯の治療に最適な、白い詰め物
C2~C3程度の虫歯で、比較的小さな範囲の治療に使用されるのが「コンポジットレジン修復」です。
虫歯を除去した後に、光で硬化するプラスチック素材(レジン)を詰め、元の歯の形を再現します。
進行度に応じて、他の修復方法(インレー、クラウン)をご提案する場合もありますが、できるだけ削らずに、見た目も機能も回復することを大切にしています。
☆インレー修復
型取りをして作る、精密な詰め物による虫歯治療
C2・C3の虫歯に対して、歯を必要最小限に削り、型取りを行って作製する詰め物(インレー)です。奥歯など咬合力の強い部位に適しています。
■インレー修復のイメージ
保険では銀歯かプラスチック、自費ではセラミックかゴールドになります。
患者様と相談し選択していただきます。
☆クラウン修復
C2、C3、C4の虫歯を除去後に型取りをして作る被せ物です
虫歯が大きく歯の残っている量が少ない場合に、より長持ちさせるために歯を全て覆う被せ物で、型取りをして作製します。根の治療をした後は歯の中に土台を入れた後で被せ物をします。
保険ではプラスチックか銀歯、自費ではセラミックかゴールドになります。
患者様と相談し選択していただきます。
■コア(土台の種類)
■クラウン(被せ物)